にんにくを食べた際に気になるのが口臭です。知らず周囲に臭いを撒き散らしてしまったり、それを人に指摘されるなんてことは避けたいですよね。
黒にんにくは、にんにくを熟成させたものなので、「にんにくより口臭がひどくなってしまうのでは?」と心配している人も多いことでしょう。
しかし、実際はイメージとは異なり、黒にんにのニオイをそこまで気にする必要はありません。その理由・根拠をみていきましょう。
にんにくの臭いの元って?
まず、にんにくのニオイについて勉強しましょう。
にんにくの臭いの元はイオウ化合物と呼ばれる成分です。イオウというと温泉の臭いの元なんかとして知られていますね。ちなみに、イオウ化合物はそのイオウ分子を含んだ有機化合物を指します。
にんにくの臭いは、イオウ化合物やそれらが分解されてできる成分によります。つまり様々な成分が組み合わさって臭いを発しているワケです。その元はなにかと言うとアリシンという成分になります。
アリシンはなぜ臭いのか?
アリシンはにんにくに含まれるアリインという成分と、同様に含まれるアリナーゼという酵素が反応して生成される成分です。にんにくの中のアリインとアリナーゼは普段は細胞によって隔てられています。しかし、外敵に傷付けられ細胞が壊されると両者が反応しアリシンが作られ臭いを発するようになります。
アリシンはその臭いに加え強い刺激をもつため、外敵を追い払う役目を持っていると考えられます。にんにくの臭いは自身を守るための仕組みというわけです。
こうして生成されたアリシンはまずそれ自体が臭いの元となります。またアリシンは安定した物質ではないため、更に反応を起こしたり自己分解をし、ジアリルジスルフィドなどの他の成分へと変化します。
アリシンやジアリルジスルフィドなどは前述のイオウ化合物という成分です。それらは特有の臭いを持っており、にんにくの臭いを形成する要因となります。
にんにくと口臭の関係とは
次は口臭について見ていきたいと思います。
口臭は、口や胃などに残った食べかすや消化物などが原因で発生します。にんにくの臭いは強いので落ちませんが、それでも数時間ほど経てば消えるのが普通です。
- 「でも、にんにくの場合、食べた翌日にその臭いが気になることがあるけど・・・」
実は、上記のような原因とは別に臭いの元となるものがあります。にんにくを食べると、胃で消化されて腸で吸収されます。体内に吸収されたにんにくの成分は血液に乗って全身を巡ります。その間もにんにくの成分は臭いを発しており、その臭いは肺からの呼気や汗などを通して体臭として外部へと拡がるのです。
要するに、にんにくの臭いは成分が全て代謝されたり排出されるまで続きます。これがにんにくの臭いが長く続く原因です。
黒にんにくは臭わない?
にんにくと口臭について学びましたが、黒にんにくについても見ていきましょう。
黒にんにくは、にんにくが熟成したものというイメージから臭いがキツイと思われています。しかし、黒にんにくはそのイメージに反して、あまりにんにく臭さはありません。口にしたとき、ほのかに感じるといった程度で、そのため口臭として残ることもほとんどありません。
- 「これは一体どうしてなのか?」
その理由は熟成の過程にあります。黒にんにくの熟成は高温・高湿度下で行います。そのため、まず細胞が壊れアリインとアリナーゼが反応しアリシンが作られます。
アリシンは前述の通りあまり安定した物質ではありません。熟成が進むに連れて他の成分へと変化していきます。黒にんにくの場合は最終的にS-アリルシステインという無臭の成分へと変わります。
実際、黒にんにくの熟成は2週間弱ほど行うのですが、はじめの数日はかなりの臭いを出します。しかし、その後は段々と落ち着いていきます。この時、にんにくの中ではアリシンが作られ、更にS-アリルシステインへと変わっていってるワケです。黒にんにくは熟成過程でその臭いを出し切っていると言えるかもしれませんね。
黒にんにくがあまり臭くないのは、臭いの元となる成分が減少しているからです。とてもシンプルな理由ですね。
まとめ
黒にんにくでは口臭の心配をする必要はあまりありません。普通のにんにくほど神経質に気にする必要は全くないと言えるでしょう。
しかし、黒にんにくが熟成してもニオイの元となる成分が全く消えてしまっているわけではなく、また熟成の度合いによってもアリシンの含有量は変化するため、一度に食べ過ぎるのはやめておきましょう。どんなものであっても食べ過ぎは体に良くないですからね。
適切な量であれば健康目的で習慣的に食べていても周囲が気にするような臭いはありませんので、臭いで敬遠していたという方は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?
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